2017年11月30日

下請代金支払遅延防止法について

~下請代金支払遅延防止法の概要~

 

Q 先日、中小企業庁より下請代金支払遅延防止法9条2項に基づく「下請事業者との取引に関する調査票」が届きました。この下請代金支払遅延防止法の概要について教えてください。

A 下請代金支払遅延防止法とは、いわゆる下請法と呼ばれている法律です。先日、中企業庁が資本金1000万円を超える事業者を対象に平成29年度調査票を送付する旨発表しましたので、対象事業者の皆様のお手元にも近々届くことになります。
  以下では、この下請法の概要について述べさせていただきます。


1 対象となる取引
下請法の対象となる取引は、親事業者と下請事業者の資本金規模とその取引の内容で区別されます。以下、対象となる取引を表にしましたのでご参照下さい。

       取引の内容   親事業者      下請事業者
物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物・役務提供委託を行う場合  資本金3億円超  資本金3億円以下(個人含む)
 資本金1000万円超3億円以下 資本金1000万円以下(個人含む)
 情報成果物作成・役務提供委託を行う場合(上記の情報成果物・役務提供委託を除く) 資本金5000万円超 資本金5000万円以下(個人含む)
資本金1000万円超5000万以下 資本金1000万以下(個人含む)
   

 

 

 

2 親事業者の義務
下請法の対象となる取引について、親事業者には、下請取引の公正化及び下請事業者の利益保護のため、①書面の交付義務(発注の際は,直ちに下請法3条所定の書面を交付すること)、②支払期日を定める義務(下請代金の支払期日を給付の受領後60日以内に定めること)、③書類の作成・保存義務(下請取引の内容を記載した書類を作成し,2年間保存すること)、④遅延利息の支払義務(支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと)の4つの義務が課せられます。


3 親事業者の禁止行為
親事業者は、①受領拒否(注文した物品等の受領を拒むこと。1項①)、②下請代金の支払遅延(下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。1項②)、③下請代金の減額(あらかじめ定めた下請代金を減額すること。1項③)、④返品(受け取った物を返品すること。1項④)、⑤買いたたき(類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。1項⑤)⑥購入・利用強制(親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。1項⑥)、⑦報復措置(下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。1項⑦)、⑧有償支給原材料等の対価の早期決済(有償で支給した原材料等の対価を,当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。2項①)、⑨割引困難な手形の交付(一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。2項②)  、⑩不当な経済上の利益の提供要請(下請事業者から金銭,労務の提供等をさせること。2項③)、⑪不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(費用を負担せずに注文内容を変更し,又は受領後にやり直しをさせること。2項④)の以上11項目の禁止事項が課せられます。


これらの禁止事項については、たとえ下請事業者の了解を得ていても,下請法に違反することになるので十分注意が必要です。